同期は動いているのに、MarketoとSalesforceのリード情報が一致しない
MarketoとSalesforceを連携していると、同期は止まっておらず、大きなエラーも出ていないのに、両方に登録されているリード情報が一致しないことがあります。
例えば、同じリードの会社名が異なる、電話番号が古いままになっている、Marketoで更新した項目がSalesforceに反映されていない、といったケースです。営業担当者から指摘されて初めて気づくこともあります。
同期処理が停止する障害とは異なり、情報の不一致は必ずしもアラートで通知されません。Sync Errorsに記録されたエラーを見落としている場合もあれば、設定や重複レコードが原因で、エラーが出ないまま情報が食い違っている場合もあります。
この記事では、リード情報が一致しない主な原因と、それぞれの確認方法、対処手順を解説します。
原因を調べるときの確認順序
リード情報が一致しないときは、最初からフィールド設定を詳しく調べるのではなく、次の順番で確認すると効率的です。
- 対象項目が双方向同期に対応しているか
- Sync Errorsにエラーが記録されていないか
- 対象リードのアクティビティログに同期失敗の記録がないか
- Salesforce同期ユーザーに対象項目の参照・編集権限があるか
- 同じ人物の重複レコードがないか
- フィールドマッピングが正しく設定されているか
- スマートキャンペーンでSalesforceへの同期対象になっているか
原因1:対象項目が双方向同期に対応していない
まず、問題が起きている項目が、MarketoとSalesforceの間で双方向に同期される項目かどうかを確認します。
リードや取引先責任者には、双方向同期に対応している項目が多くありますが、すべてが対象ではありません。例えば、取引先に関する情報には、SalesforceからMarketoへの一方向にしか同期されない項目があります。
こうした項目は、Marketoで値を変更してもSalesforceには反映されません。更新した値が反映されなくても、不具合ではなく、仕様どおりに動作している可能性があります。
会社名のような基本的な情報でも、リードの会社名なのか、取引先責任者に紐づく取引先名なのかによって、同期の扱いが異なる場合があります。対象項目がどのオブジェクトに属しているかも確認してください。
SalesforceからMarketoへの一方向同期であれば、Salesforce側の元データを修正します。
原因2:Salesforceの入力規則や必須項目の条件を満たしていない
Salesforceで入力規則、必須項目、選択リストの制約が変更されると、Marketoからの更新が受け付けられなくなることがあります。
この場合、同期全体が停止するわけではありません。Salesforceの条件を満たさない一部のリードだけが更新に失敗するため、問題に気づきにくくなります。
まず、Marketoの「管理者 → 統合 → Salesforce → Sync Errors」を確認してください。次のようなエラーが記録されていれば、Salesforce側の制約が原因です。
REQUIRED_FIELD_MISSINGFIELD_FILTER_VALIDATION_EXCEPTIONINVALID_OR_NULL_FOR_RESTRICTED_PICKLIST
例えば、「REQUIRED_FIELD_MISSING:値を入力してください:[LastName, Company]」というエラーが出ている場合は、Salesforceで必須とされている項目に、Marketo側で値が入っていない可能性があります。対象リードの不足項目に値を入力すれば、同期が再開します。

なお、Sync Errorsで確認できるのは過去5日分のエラーだけです。月1回程度の確認では見逃すおそれがあります。Salesforceの設定変更後や、大量のデータを更新した後は、必ずエラーの発生状況を確認してください。
原因3:Salesforce同期ユーザーの権限が不足している
フィールドマッピングが正しくても、Salesforce同期ユーザーに必要な権限がなければ、Marketoは対象項目を適切に参照・更新できません。
Salesforceで項目を追加したり権限設定を変更したりした際に、同期ユーザーへの権限付与が漏れていることがあります。その場合、次のような問題が起きます。
- 特定の項目だけ同期されない
- Salesforceにある値がMarketoに取り込まれない
- Marketoで更新した内容がSalesforceに反映されない
Salesforce管理者に、同期ユーザーが対象オブジェクトにアクセスできるか、対象項目の参照・編集権限が付与されているかの確認を依頼してください。
項目レベルセキュリティで参照権限が制限されている場合は、フィールドマッピングが正しくても同期できません。

原因4:項目の対応付けが正しくない、または解除されている
MarketoとSalesforceは、それぞれの項目を対応付けてデータをやり取りします。この対応関係をフィールドマッピングといいます。
初回同期では、名前が似ているフィールドが自動的に対応付けられます。一方、対応するフィールドが見つからなければ、同期対象から外れます。この状態では、一方の値を更新しても、もう一方には反映されません。
SalesforceのカスタムフィールドのAPI名を変更する場合は、特に注意が必要です。API名の変更によってMarketoに新しいフィールドが作成され、既存フィールドとの同期が解除されることがあります。表示名だけを変えたつもりでも、実際にはAPI名も変更され、同期に影響している場合があります。
Marketoの「管理者 → フィールド管理」で対象フィールドを選択し、「+」を展開すると、対応するSalesforceの項目名を確認できます。何も表示されなければ、同期対象になっていない可能性があります。

フィールドマッピングの変更には、Marketoサポートへの依頼が必要です。依頼時には、MarketoとSalesforceそれぞれのフィールド名、API名、現在の値、期待する同期方向を整理しておくと、対応が早くなります。
原因5:同じ人物の別レコードを比較している
情報が一致しないように見えても、実際には重複して登録された別々のレコードを比較しているケースがあります。
MarketoとSalesforceを連携していても、メールアドレスが同じという理由だけで、必ず自動的に一つのレコードへ統合されるわけではありません。例えば、Marketoで先に作成された人物と、Salesforceから同期された人物が、別々のレコードとして存在することがあります。
また、Salesforceのリードと取引先責任者に同じメールアドレスが登録されている場合も、それぞれが別のレコードとしてMarketoに同期されることがあります。
重複レコードがあると、一方だけが更新されたり、スコアやメールの配信除外設定が片方にしか反映されなかったりするなど、運用上の問題が生じます。
まずSalesforceで、同じメールアドレスのリードや取引先責任者が複数存在しないかを確認してください。重複している場合は、どのレコードを正しい情報として残すかを決めたうえで統合します。
Salesforceに重複がある場合は、Salesforceで整理してから再同期します。Marketoに重複が残っている場合は、対象の2件を選択し、「顧客のマージ」または「人物の結合」から統合します。
マージは元に戻せません。どちらのレコードの値を残すかを必ず確認してから実行してください。
原因6:Marketoで作成した人物がSalesforceに同期されていない
Marketoでは情報が更新されているのに、Salesforceに該当するリードが存在しない場合は、Salesforceへの同期が行われていない可能性があります。
Marketoで新規作成された人物は、同期の設定をしなければ自動的にはSalesforceへ送られません。Salesforceにもレコードを作成するには、スマートキャンペーンのフローステップで「人物をSFDCに同期」を設定する必要があります。古い画面や環境では、「SFDCにリードを同期」と表示される場合もあります。
運用を引き継いだ環境では、以前から動いているはずのキャンペーンが、実際には無効になっていることもあります。スマートリストの抽出条件やフローの同期設定に問題がないか、キャンペーンが有効になっているかを確認してください。
特に、スマートリストで複数のAND条件を組み合わせている場合は、条件が厳しすぎて対象者が一人もいないことがあります。
また、本番環境で一度に大量の同期を実行すると、Salesforceに多数の新規リードが作成される可能性があります。意図しない登録を防ぐため、実行前に対象人数を確認してください。
原因7:どちらのシステムの情報を正しいものとして扱うか決まっていない
同期設定に問題がなくても、データの更新ルールが明確でなければ、MarketoとSalesforceの情報が一致しなくなることがあります。
例えば、営業担当者がSalesforceで電話番号を修正し、マーケティング担当者もMarketoで同じ項目を更新しているケースです。さらに、フォーム送信で古い会社名が登録されたり、名刺の取り込みで別表記の会社名が登録されたりすることもあります。
こうした環境では、同期が正常に動いていても、双方からの更新によって値が繰り返し上書きされます。その結果、一度修正した情報が、いつの間にか古い値に戻っているように見えます。
この問題を防ぐには、項目ごとに、どちらのシステムの情報を正しいものとして扱うかを決めておく必要があります。
一般的には、営業活動で使う基本情報はSalesforce、メールの配信可否やスコアなどのマーケティング情報はMarketoを正しい情報として扱う運用が多く見られます。
すべての項目を両方のシステムで自由に更新できる状態では、どちらの値を優先すべきか判断できなくなります。同期の仕組みだけでなく、情報の管理・更新に関するルールも整えることが重要です。
担当者や管理者で対応できること、サポートへの依頼が必要なこと
次の作業は、運用担当者やシステム管理者で対応できます。
- Sync Errorsやアクティビティログの確認
- 対象リードの不足項目への入力
- スマートキャンペーンの条件修正
- 重複レコードの確認と統合
- Salesforce同期ユーザーの権限確認
- データ更新に関する運用ルールの整理
一方、フィールドマッピングの変更には、Marketoサポートへの依頼が必要です。
また、次のような場合は、Marketoサポートへの相談を検討してください。
- SalesforceのAPI名を変更した後、Marketoに別の項目が作成された
- 同期エラーは出ていないが、更新内容が反映されず、原因を特定できない
問い合わせる際は、次の情報を整理しておくと調査が進みやすくなります。
- 対象のMarketo人物ID
- SalesforceレコードID
- 対象フィールド名
- 現在の値
- 期待する値
- 問題が発生し始めた時期
まとめ
MarketoとSalesforceのリード情報が一致しない原因は、同期エラーだけではありません。
同期方向の仕様、Salesforceの入力制約や権限設定、フィールドマッピングの不整合、重複レコード、スマートキャンペーンの設定、データの更新ルールなど、さまざまな原因が考えられます。複数の問題が重なっている場合もあります。
情報が一致しないときは、まず両システムで同じレコードを確認しているかを調べます。そのうえで、Sync Errors、アクティビティログ、同期ユーザーの権限、重複レコード、フィールドマッピング、スマートキャンペーンの設定を順に確認してください。
それでも解消しない場合は、むやみに設定を変更せず、対象レコードや発生状況を整理してMarketoサポートに相談してください。
MarketoとSalesforceの連携運用に課題がある場合は、さとりファクトリにご相談ください。エラーログの読み方からフィールド設計の見直し、重複リードの整理、Salesforceの制約の確認まで、実際の運用に合わせて対応します。
また、Marketoの導入検討から日々の運用まで、段階ごとに関連記事をまとめた「Marketo実践ガイド」もあわせてご覧ください。
マーケティング運用を強化されたい方へ
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