Marketoでプログラムステータスを更新したのに、Salesforce側のキャンペーンメンバーの状況が変わっていない。この状態に気づいたとき、Marketoのプログラム画面だけを眺めていても原因にはたどり着けません。ステータス不一致の原因は、プログラム側ではなく、同期の設定、名称の対応関係、同期ユーザーの権限のいずれかに潜んでいることがほとんどだからです。
この記事では、不一致に気づいてから原因を特定するまでの確認手順を、見る順番どおりに整理します。
前提:何と何が同期されているのか
先に対応関係を押さえておきます。Marketoのプログラムステータスは、Salesforceのキャンペーンメンバーの状況に対応します。プログラムとSalesforceキャンペーンを同期している場合、この2つは双方向で同期され、どちらか一方を更新すればもう一方にも反映される設計です。
ただし、同期の仕組みには2つの方式があります。
- プログラムとSalesforceキャンペーンの1対1同期。プログラムアクションメニューの「Salesforceキャンペーン同期」で設定するもの
- スマートキャンペーンのフローアクション(「SFDCキャンペーンに追加」「SFDCキャンペーンでのステータス変更」)による個別更新
どちらの方式で運用しているかによって、確認すべき場所が変わります。切り分けはここから始めます。
手順1:同期方式を特定する
マーケティング活動で対象プログラムを開き、サマリ画面にSalesforceキャンペーンとの同期情報が表示されていれば1対1同期、なければフローアクションによる運用です。同期の設定自体はプログラムアクションメニューの「Salesforceキャンペーン同期」から行います。この機能を初めて使う環境では、組織レベルの設定(管理者>Salesforce>同期オプション)でキャンペーン同期が有効になっているかも確認してください。機能そのものが無効なら、プログラム側に同期の選択肢が出ません。
1対1同期の場合、注意すべき仕様が1つあります。同期を設定しているキャンペーンに対しては、同じキャンペーンをターゲットにした「SFDCキャンペーンに追加」「SFDCキャンペーンでのステータス変更」などのフローアクションがスキップされます。同期も設定しつつ、念のためフローでもステータス変更を入れている、という二重運用をしていると、フロー側は動いていないのに動いているつもりになる食い違いが起きます。リードのアクティビティログでフローアクションがスキップされていないかを見てください。1対1同期をしているプログラムでは、フローアクションは「プログラムステータスの変更」を使います。プログラムステータスを変えれば、同期を通じてSalesforce側にも反映されます。
フローアクション運用の場合にも、見落としやすい仕様があります。「SFDCキャンペーンに追加」は、すでにそのキャンペーンのメンバーになっているリードに対してはスキップされ、ステータスは更新されません。既存メンバーのステータスを動かしたいときは「SFDCキャンペーンでのステータス変更」を使う必要があります。
手順2:ステータス名の対応を照合する
不一致の原因として最も多いのが、名称の不一致です。Marketoのプログラムステータスはチャネルごとに定義され、Salesforceのメンバーの状況はキャンペーンごとに定義されます。この2つの表記が完全に一致していないと、該当するステータスのメンバーは同期に失敗します。
確認する場所は次の2箇所です。
- Marketo:管理者>タグ>チャネル で、対象プログラムが使っているチャネルのステータス一覧
- Salesforce:対象キャンペーンの関連リスト「キャンペーンメンバーの状況」(Classicの場合は「高度な設定」ボタン)
照合するときは、目視でだいたい同じだからと済ませないでください。見落としやすいのは次のパターンです。
- 大文字小文字の違い(「Registered」と「registered」でも同期に失敗します)
- 末尾スペースの混入や全角半角の違い(「参加」と「参加 」のように、見た目では気づけない差異)
- Salesforce側で誰かが後からメンバーの状況を追加・改名しており、チャネル定義とずれている
既存のSalesforceキャンペーンに同期をかけようとして、互換性のないステータスというエラーが出る場合も原因は同じです。この場合、Salesforce側のメンバーの状況を削除または改名してチャネル定義に合わせるか、Marketo側のチャネル設定を修正してから同期をやり直します。なお、チャネルの変更はそのチャネルを使う全プログラムに影響するため、既存プログラムが多い環境ではSalesforce側を合わせる方が影響範囲を抑えられます。
手順3:同期エラーを確認する
名称が一致しているのに反映されない場合は、同期そのものが失敗していないかを確認します。
Marketoの管理者>Salesforce>同期エラーを開きます。あわせて、通知エリアに「Salesforce Sync Error: Unable to Add Leads to Campaigns」といった件名の通知が届いていないかも見てください。ここでは、失敗したリードのサンプルと対象キャンペーン、Salesforceが返したエラー内容が確認できます。
エラー内容ごとの調査の方向性は次のとおりです。
- INSUFFICIENT_ACCESS_ON_CROSS_REFERENCE_ENTITY:Salesforce側の権限まわりを疑う。手順4へ
- ステータス関連のエラー:手順2の名称照合に戻る
- エラーが何も出ていない:手順5の同期タイミングと対象レコードの確認へ
手順4:同期ユーザーの権限を確認する
キャンペーン同期には、Marketoの同期ユーザーがSalesforce側でマーケティングユーザーとして有効になっている必要があります。Salesforceのユーザー設定で、同期ユーザーの「マーケティングユーザー」のチェックが入っているかを確認してください。
このチェックは、Salesforce側の管理者がユーザー整理やライセンス見直しの際に外してしまうことがあります。ある日を境に急に反映されなくなった、という場合は、Salesforce側で何らかの権限変更がなかったかを管理者に確認するのが早道です。
もう1つ確実なのは、同期ユーザーの認証情報でSalesforceにログインしてみることです。そのユーザーから対象キャンペーンとキャンペーンメンバーが見えて編集できるなら、権限は問題ありません。見えないなら、プロファイルや共有設定のどこかで可視性が絞られています。
手順5:同期タイミングと対象レコードを確認する
設定にも権限にも問題がない場合、残る可能性は、まだ同期されていないだけか、そのレコード自体が同期対象になっていないかのどちらかです。
MarketoとSalesforceの同期はサイクル方式で、標準では前回のサイクル完了から5分後に次のサイクルが始まります。1サイクルにかかる時間はデータ量次第で、レコード量が多い環境では同期のバックログが溜まり、反映まで時間がかかることがあります。管理者>Salesforceの同期ステータスで、直近の同期サイクルが正常に完了しているか、失敗やスキップが積み上がっていないかを確認できます。
また、Salesforceキャンペーンの「有効」チェックが外れていると、Marketo側の同期先の候補にキャンペーンが表示されません。過去に有効チェックを外したキャンペーンで不一致が起きていないかも見てください。個別のリード単位で追う場合は、そのリードのアクティビティログでSFDCキャンペーン関連のアクティビティが記録されているか、失敗やスキップの理由が残っていないかを確認します。
再発防止:ステータス定義の変更を一元管理する
今回の不一致を直しても、チャネル定義とキャンペーンのメンバーの状況を別々の担当者が別々のタイミングで触れる状態が続く限り、同じ問題は再発します。最低限、次の2点を運用ルールにしておくことをすすめます。
1つは、チャネルのステータス定義を変更する際は、必ず対応するSalesforceキャンペーン側も同時に修正する(またはその逆)というルールです。もう1つは、Salesforce側でキャンペーンメンバーの状況を自由に追加できる権限を絞ることです。営業側が独自の状況値を追加した瞬間に、Marketoとの対応関係は崩れます。
チャネルごとのステータス定義とSalesforce側の状況値の対応表を1枚作っておくと、次に不一致が起きたときの照合が数分で終わります。この記事の手順1〜5をそのままチェックリスト化して、対応表とセットで社内に置いておくのが、いちばん再発に強い形です。
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