Marketoを活用してリード獲得を行う際、「どの広告や流入経路が問い合わせにつながったのか」を正しく把握することは非常に重要です。
特に、
- 広告ごとの成果を可視化したい
- 自然検索と広告流入を区別してレポートしたい
- 初回流入元を正確に記録したい
といった場合は、UTMパラメータの取得・保持方法を事前に設計しておく必要があります。
しかし実際の運用では、
- 最初のページにはUTMが付いているのに、フォーム送信時には消えている
- MarketoのLPへ遷移したらUTMを取得できない
- どこで保存し、どこで引き継げばよいのかわからない
といった課題に直面するケースが少なくありません。
本記事では、MarketoでUTMを正しく取得するための考え方と、代表的な実装パターンについてわかりやすく解説します。
まず理解したい導線の仕組み
一般的な導線は次のような構成です。
- 広告から自社サイトへ流入
- URLにUTMパラメータが付与されている
- 自社サイトにはMunchkinやGoogle Analyticsが導入されている
- ユーザーがMarketoのランディングページ(LP)へ移動
- LP上の問い合わせフォームを送信
このとき問題になるのが、最初の流入時には存在していたUTMパラメータが、フォーム送信時には失われていることがある点です。
UTMはURLの一部であり、自動的に次のページへ引き継がれるものではありません。
そのため、何も対策をしていない場合、途中のページ遷移で消えてしまいます。
そのためUTM設計では、どのタイミングでUTMを保存するか、どのタイミングでMarketoへ渡すか、の2つを分けて考えることが大切です。
UTMが途中で消えてしまう理由
UTMパラメータはURLに付与される情報です。例えば次のようなURLです。
https://www.example.com/page?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=spring
このUTM情報はURLに紐づいているため、ユーザーが別のページへ移動すると通常は失われます。
そのため、UTMを保持し続けるには以下のような仕組みが必要です。
- 遷移先URLへUTMを引き継ぐ
- Cookieへ保存する
- JavaScriptでhidden fieldへ格納する
- サーバー側で保持する
何も実装していない場合、UTMは自然に維持されることはありません。
MarketoでUTMを取得する主な方法
1. Referrerを利用する
最もシンプルな方法です。
例えば、自社サイトとMarketo LPの間を1回だけ遷移するケースであれば、直前ページのリファラー情報を利用してUTMを取得できます。(Marketo側で前ページのURLを参照し、そこに含まれるUTMパラメータをhidden fieldへ格納する形になります。)
ただし、近年のブラウザでは、セキュリティ上の理由からリファラー情報が制限されることが増えており、URL全体ではなくドメイン部分のみが渡されることがある点は注意です。
例えば、
https://www.example.com/page?utm_source=google
ではなく、
https://www.example.com
だけが取得されるケースです。
この場合、どのUTMが付いていたのか判別できません。
そのため、Referrer方式は単純な1回遷移のみを対象とした方法と考えるのが安全です。
2. UTMをURLに引き回す
比較的わかりやすい方法が、UTMを各リンクへ引き継ぐ方法です。
最初に取得したUTMパラメータを、サイト内のリンクやMarketo LPへのリンクにも付与していきます。
例えば、
https://pages.example.com/contact?utm_source=google&utm_medium=cpc
のような形で、常にUTMを保持したまま遷移させます。
この方法のメリットは、以下です。
- 実装が比較的シンプル
- Marketo側でそのままhidden fieldに格納できる
- Cookieを利用しなくてよい
一方で、サイト規模が大きいと管理が大変な点、すべてのリンクに対して考慮が必要な点、設定漏れが発生しやすい点は課題として挙げられます。
3. Cookieで保持する
実務で最も採用されることが多い方法の一つです。
初回流入時にUTMをCookieへ保存し、フォーム送信時にその値を読み出してhidden fieldへ格納します。
この方法のメリットは、以下の3点です。
- ページ遷移しても値が保持される
- 複数ページをまたぐ導線に強い
- 初回流入元を記録しやすい
例えば、
- Facebook広告から流入
- サービスページを閲覧
- 導入事例を閲覧
- 数日後に問い合わせ
という導線であっても、最初の流入元を維持できるため、特に「初回接点を重視したい企業」に適した方法です。
ただし、Cookieを利用する場合はドメイン構成に注意が必要です。
Cookie共有がしやすい例
- www.example.com
- pages.example.com
Cookie共有が難しい例
- www.example.com
- pages.example.net
ドメインが異なる場合は別の方法を検討する必要があります。
初回接点と最終接点、どちらを記録するべきか
UTM設計では、「どのタイミングの情報を残すのか」を事前に決めておくことが重要です。
初回接点(First Touch)
最初に流入したチャネルを記録する方法です。
例:Facebook広告 → サイト回遊 → 問い合わせ
この場合、問い合わせ時点でもFacebook広告を記録します。広告による新規顧客獲得効果を測定したい場合に有効です。
最終接点(Last Touch)
問い合わせ直前の流入元を記録する方法です。
例:自然検索 → サイト回遊 → リターゲティング広告 → 問い合わせ
この場合はリターゲティング広告が成果として記録されます。コンバージョン直前の施策効果を見たい場合に適しています。
どちらが正解というものではなく、重要なのは、「何を評価したいのか」を先に決めることです。
Marketoのhidden field設計も、それに合わせて決定すると後々のレポートがぶれにくくなります。
GAやGTMはどう活用するべきか
Google Analytics(GA)やGoogle Tag Manager(GTM)もUTM取得に利用できますが、役割を明確に分けて考えることをおすすめします。
GAの役割
GAは分析には優れていますが、フォーム送信時にMarketoのhidden fieldへ値を渡す仕組みは別途実装が必要です。
そのため、流入分析やチャネル分析、コンバージョン分析には有効ですが、Marketoの入力値管理の代替にはなりません。
GTMの役割
GTMは実装管理に便利です。
例えば、Cookieへの保存やhidden fieldへの自動入力、JavaScript配信などを効率良く管理できます。
ただし、UTMの保管場所そのものではないため、管理方針を明確にすることが重要です。
MarketoとMunchkinの役割
フォーム送信時のデータ管理をMarketo側へ集約し、行動履歴はMunchkinで追跡する構成は非常に管理しやすい方法です。
特に、以下のような運用では、Marketo中心の設計がわかりやすいケースが多くあります。
- リード管理を中心に考える
- 後からレポートを作成する
- 営業連携まで含めて管理する
マルチドメイン環境で注意すべきこと
複数ドメインを利用している場合は、UTM設計で特に注意が必要です。
例えば、
- www.example.com
- pages.example.com
のようなサブドメイン構成であれば比較的扱いやすく、Cookie共有も可能です。
一方で、
- www.example.com
- pages.example.net
のような異なるドメイン構成の場合、Cookie共有は基本的にできません。
そのため、URLパラメータの引き回しやサーバー側での保持、Referrer活用など、別の方法を検討する必要があります。
実務でおすすめの構成
最後に、目的別のおすすめ構成を整理します。
シンプルな1回遷移の場合
- Referrerを利用
- hidden fieldへ格納
複数ページをまたぐ場合
- Cookie保存を基本とする
- 必要に応じてUTM引き回しを併用
高度な分析が必要な場合
- Munchkin+API連携
- アトリビューション設計を実施
異なるドメインをまたぐ場合
- URL引き回しを優先
- Cookie依存を避ける
まとめ
MarketoでUTMを正しく取得するためには、「どこで保持し、どこでフォームへ渡すか」を最初に設計しておくことが重要です。
ポイントをまとめてみました。
- UTMはURLの情報であり、自動では引き継がれない
- 単純な導線ならReferrerで対応できる場合がある
- 複数ページをまたぐ場合はCookie保存が有力
- URL引き回しも有効な選択肢
- 高度な分析にはMunchkinとAPI活用を検討する
- GAやGTMは補助的な役割として考える
- ドメイン構成によって最適な方法は変わる
そして何より重要なのは、「初回接点を評価したいのか」 「最終接点を評価したいのか」 「単純な問い合わせ計測なのか、アトリビューション分析まで実施したいのか」を先に決めることです。
この方針が明確になれば、MarketoにおけるUTM設計も自然と整理され、広告成果を正確に把握できるようになります。
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