Marketoの導入を検討する際は、ライセンス料に加え、初期設定や導入後の運用にかかる費用も把握しておく必要があります。既存のMAツールから移行するか、どのような施策から始めるか、運用をどこまで社内で担うかによって、必要な予算は変わります。
この記事では、Marketoにかかる費用をライセンス料、初期構築費、運用費に分け、それぞれの内訳と、初年度・翌年度以降の予算の考え方を解説します。
Marketoのライセンス料は個別見積もり
Marketo Engageのライセンス料は、利用条件に応じた個別見積もりです。Adobeの公式サイトには、Growth、Select、Prime、Ultimateの各パッケージと機能が掲載されていますが、料金は公開されていません。Adobeの価格・パッケージ
パッケージによって、利用できる機能やユーザー数、API呼び出しの上限などが異なります。見積もりを依頼する際は、必要な機能、利用人数、Marketoで管理する見込み客の件数を伝えます。インターネット上の参考価格を見る場合も、パッケージや契約条件が自社の想定と合っているかを確認する必要があります。
管理対象の件数は、取り込むデータの範囲によって変わります。例えば、Salesforceの取引先責任者をすべて取り込む場合と、特定の商材に関わる見込み客だけを取り込む場合では、件数が異なります。導入時点の件数と契約期間中の増加見込みを整理し、契約上の件数の数え方や上限、上限を超えた場合の追加費用も確認します。
初期構築費には何が含まれるか
初期構築の主な作業には、データの取り込み、Salesforce連携、メールやフォームの制作、操作研修などがあります。費用は、外部に依頼する作業の内容や範囲によって変わります。
例えば、セミナーの申込受付と開催後のフォローから始める場合は、申込フォーム、案内メール、フォローメールを作成し、配信に必要な設定を行います。見込み客を営業に引き渡す仕組みまで整える場合は、スコアリングや通知条件の設計・設定も必要です。
既存のMAツールから移行する場合は、データの取り込みに加え、引き続き使用するメール、フォーム、ランディングページ(LP)、自動処理をMarketo上で再構築する必要があります。移行費用は、データ件数だけでなく、再構築する制作物や自動処理の数、テストの範囲によっても変わります。
見積もりでは、主に次の内容を確認します。
| 作業 | 見積もりで確認する内容 |
|---|---|
| データ移行 | データの取り込みに加え、重複の整理、配信停止情報の引き継ぎ、移行後の件数照合まで含むか |
| 既存施策の移行・再構築 | メール、フォーム、LP、自動配信・通知などを、それぞれ何点再構築するか。動作確認まで含むか |
| Salesforce連携 | 同期するデータ・項目の設計、同期ユーザーの権限確認、連携テストまで含むか |
| メール・フォーム・LPの新規制作 | 共通テンプレートと、初回の施策で使うメール・ページを、それぞれ何点制作するか |
| スコアリング・営業連携 | 営業に引き渡す条件の検討から依頼するか、社内で決めた条件の設定・テストを依頼するか |
| 研修・引き継ぎ | 操作研修、運用手順書、設定一覧の作成を含むか |
Salesforceの標準連携を利用する場合も、同期する項目の設計や権限確認、設定後のテストが必要です。Adobeの導入計画でも、技術設定、プログラム作成、教育、テストは別の工程として整理されています。Adobeの導入計画
ウェビナーツールや社内のデータ基盤などと連携する場合は、それらの設定・テストも見積もりに含めます。連携用の外部製品を利用する場合は、初期設定費に加えて、利用料や保守費がかかることもあります。継続的にかかる費用は、初期構築費と分けて運用予算に計上します。
制作費の一例:メールテンプレート
ルシダスの「マルテン」では、標準の3種類のパーツに加えて4種類のパーツを選べる、セミオーダーの「梅プラン」を60,000円と案内しています。プランに含まれないカスタマイズは別途見積もりです。税込・税別の区分は、発注時に確認する必要があります。ルシダスのマルテン(2026年11月7日確認)
これはメールテンプレート単体の制作費です。Marketoの初期構築全体の費用とは分けて考えます。
運用支援と運用代行にかかる費用
導入後の運用では、メール配信やフォーム作成を社内で行い、設定に関する相談やトラブル対応を外部に依頼する方法があります。日常の作業も委託する場合は、メール・申込フォームの作成、配信対象の設定、テスト配信などが運用代行の対象となります。
グロースソイルでは、顧客情報の入力やメルマガ・申込ページの作成などを含むMarketoの運用代行を、月30時間から、月額36万円から(税別)と案内しています。グロースソイルのMarketo運用代行(2026年11月7日確認)
運用支援・運用代行の料金を比較する際は、月額料金に含まれる作業と、対応できる件数や時間を確認します。
例えば、定例のメルマガ配信に加えてセミナーを開催する月は、申込フォーム、案内メール、開催後のフォローメールの制作が重なります。通常月と作業が集中する月の業務量を委託先に伝え、月額料金内で対応できる範囲と、追加料金が発生する条件を確認します。
配信以外の保守業務も含まれるか確認する
Marketoの運用には、メール配信やフォーム作成のほかに、次のような保守業務もあります。
- データの修正
- Salesforceとの同期の監視・エラー対応
- 担当者の異動に伴う権限変更
- 設定変更後のテスト
これらが配信代行の月額料金に含まれるとは限りません。特にSalesforceとの同期は、エラー発生時の対応だけを依頼するのか、定期的な監視まで依頼するのかによって、契約内容が変わります。
また、作業を委託しても、配信内容の承認や営業部門との調整など、社内で担う業務は残ります。外部への委託費だけでなく、担当者の作業時間も見込んでおく必要があります。
初年度と翌年度以降の予算の考え方
初年度は、ライセンス料と運用費に加え、初期構築・移行・研修の費用がかかります。翌年度以降は、ライセンスや運用支援の継続費用を基本に、その年度に追加で依頼する制作・設定などの費用を見込みます。
例えば、新しい商材のメール施策を始める場合は、テンプレートの追加制作や配信設定が必要になることもあります。翌年度以降も、予定している施策に応じた予算を確保します。
| 費用項目 | 初年度 | 翌年度以降 |
|---|---|---|
| Marketoのライセンス料 | 契約条件に基づく、その年度の利用期間分 | 更新条件に基づく、その年度の利用期間分 |
| 初期構築・移行・研修 | 設計、設定、移行、研修などの費用 | 再構築や追加研修を予定している場合の費用 |
| 運用支援・運用代行 | 月額料金 × 初年度の契約月数 | 月額料金 × その年度の契約月数 |
| 連携に使う外部製品 | 利用料・保守費 | 更新後の利用料・保守費 |
| 追加制作・設定 | 初期構築費や月額料金に含まれない作業の費用 | その年度に追加で依頼する制作・設定などの費用 |
ライセンスと運用支援では、契約の開始時期が異なる場合があります。例えば、構築着手時にライセンス契約を開始し、初回配信の月から運用支援を契約する場合、ライセンス料には、構築期間中の費用も含めます。年間一括払いの場合は、その年度の利用期間に対応する費用と、実際の支払額・支払時期を分けて整理します。
予算表を作成する際は、税込・税別を統一し、初期構築費と追加制作費に同じ作業を二重に計上しないようにします。金額が未確定の項目は「見積もり待ち」と記載すると、社内で対応するため外部費用がかからない項目と区別できます。
社内作業も含めた総費用を比較する場合は、担当者の作業時間に社内基準の時間単価を掛けて人件費を算出し、外部への支払額とは分けて記載します。
見積もりの依頼前に整理すること
見積もりを依頼する際は、導入後にどのような施策を実施したいかを具体的に伝えます。
「セミナー施策を始めたい」という依頼でも、フォームとメールの制作だけを依頼するのか、Salesforceとの同期や営業への引き渡しまで含めるのかによって、必要な作業は変わります。社内で決まっている事項と、設計から相談したい事項を分けて伝えると、依頼範囲が明確になります。
| 伝える項目 | 記載例 |
|---|---|
| 最初に実施する施策 | セミナーの申込受付と、開催後のフォローメール配信 |
| 既存環境と移行対象 | 使用中のMAツール、移行データの件数、引き続き使用するメール・フォーム・LP・自動処理の数 |
| 使用するデータと連携先 | Salesforceのリードと取引先責任者を使用。同期範囲は設計から相談 |
| 制作を依頼するもの | 申込フォーム、案内メールとフォローメールのテンプレート |
| 社内で担当する業務 | 配信原稿の作成、営業に引き渡す条件の決定 |
| 運用開始後に依頼する業務 | 初回施策の実行支援、その後の設定変更に関する相談 |
| 希望時期と予算 | 初回配信の希望日、予算の承認状況と金額 |
原稿作成、制作、設定、テスト、承認についても、社内と委託先のどちらが担当するかを整理します。複数社に同じ作業範囲と役割分担を提示することで、条件をそろえて料金を比較できます。
まとめ
Marketoの導入・運用予算は、ライセンス料、初期構築費、運用費に分けて検討します。既存のMAツールから切り替える場合は、データ移行に加え、引き続き使用するメールやフォーム、自動処理の再構築費用も見込みます。翌年度以降は、継続契約の費用に、予定している施策の制作・設定費を加えて予算を立てます。
さとりファクトリでは、Marketo導入に向けた要件整理から、設計・構築、運用開始まで支援しています。導入後に取り組む施策や、社内と委託先の役割分担が決まっていない段階でもご相談いただけます。



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