Marketoの動的コンテンツが想定どおり表示されないとき、メールやランディングページの編集画面だけを見直しても、原因にたどり着けないことがよくあります。動的コンテンツの表示は、アセット側の設定とリード側のセグメント所属の2つが揃って初めて成立するためです。片方だけ確認して、設定は合っているのに出ないと行き詰まるケースがほとんどです。
この記事では、症状を切り分けながら原因を特定するための確認手順を、見る順番どおりに整理します。
症状を3パターンに分ける
最初に、起きている症状がどれに当てはまるかを確認します。どのパターンかで疑うべき場所が変わります。
- 全員にデフォルトコンテンツが表示されるなら、セグメンテーションかアセットの承認状態を疑います
- 特定のリードだけ想定と違うセグメントの内容が表示されるなら、そのリードのセグメント所属と、セグメントの優先順位を疑います
- プレビューでは正しいのに実配信で違う内容になるなら、プレビューの見方と、下書き・承認済みの差分を疑います
以下、この順に確認場所を説明します。
確認1:セグメンテーションが承認されているか
データベースのセグメンテーションフォルダで、対象のセグメンテーションの状態を確認します。動的コンテンツで機能するのは承認済みのセグメンテーションだけです。下書きのまま放置されている、あるいは誰かが編集用の下書きを作成したあと承認していない、という状態が典型的な原因です。
気をつけたいのは、承認済みセグメンテーションに下書きを作って編集した場合です。編集内容は承認するまで反映されず、配信には古いルールが使われ続けます。ルールを直したはずなのに挙動が変わらないときは、まずここを見てください。
確認2:対象リードがどのセグメントに入っているか
症状2のケースでは、アセット側ではなくリード側を見ます。リードのレコード上でセグメント所属を直接確認する画面はないため、確認はセグメント側から行います。方法は2つあります。
- セグメンテーション配下の各セグメントを開き、人物タブでそのリードが含まれているかを見る
- スマートリストでフィルターのセグメントを使い、該当リードがどのセグメントの条件で抽出されるかを確認する
ここで想定と違うセグメントに入っていた場合、原因は次のどちらかです。
優先順位の問題
1つのセグメンテーション内でリードが所属できるセグメントは1つだけです。複数のセグメント条件に一致する場合、リストの上から評価され、最初に一致したセグメントに入ります。業界がITというセグメントと役職が役員というセグメントの両方に一致するリードは、上に置かれた方にしか入りません。下のセグメント用に作ったコンテンツは表示されません。
データの問題
セグメントのスマートリスト条件と、リードの実際のフィールド値が一致していないケースです。特にフリーテキストで入力されるフィールド(会社名、役職、住所など)は表記ゆれが起きやすく、「株式会社」の有無や全角半角の違いで条件から外れます。該当リードのフィールド値を直接見て、条件に本当に一致するかを確かめてください。
どのセグメントにも一致しないリードはデフォルトセグメントに入り、動的コンテンツではデフォルトコンテンツを受け取ります。なぜかデフォルトばかり配信される、というときは、条件に一致するリードが実際にはほとんどいない可能性を疑います。セグメンテーションのダッシュボードの円グラフで分布を、各セグメントの人物タブで実数を見れば、想定した分布になっているかを確認できます。
確認3:セグメンテーションが再評価されていない可能性
セグメント所属はリアルタイムでは動きません。ここを誤解していると、データは正しいのに表示が変わらない、という状況にはまります。
セグメントの再評価は、条件に使っているフィールドの実際のデータ値が変わったことをきっかけに動きます。このため、次の2つのケースでは値が変わってもセグメントが動きません。
- 相対的な日付条件を使っている場合
契約終了日が今四半期、のような条件は、日付が経過して四半期が変わってもフィールド値自体は変わらないため、再評価が走りません。リードが本来移るべきセグメントに移らないまま残ります。 - Salesforceの数式フィールドを使っている場合
数式フィールドは計算結果が変わってもSalesforce側のレコード更新として扱われないため、同じレコード上の参照元フィールドが更新されない限りMarketoに同期されず、セグメント変更のきっかけになりません。
こうしたフィールドを条件に使っているセグメンテーションは、構造的に古い所属のまま止まります。条件を実データの入るフィールドに置き換えるか、スマートキャンペーンでフィールド値を明示的に書き換えて再評価を促す設計に変える必要があります。
確認4:プレビューの見方が正しいか
プレビューでは合っているのに実配信で違う、という症状3は、プレビューの確認方法に原因があることが多いです。
メールのプレビュー画面では、閲覧方法のドロップダウンからセグメント別の表示を切り替えられます。ただしこれは、そのセグメントに入っている前提での表示を見ているだけです。実際のリードがそのセグメントに入っているかどうかは検証できません。セグメント別プレビューと合わせて、実在するリードを指定した表示確認(人物の指定はリスト経由になります)を行い、そのリードで動的コンテンツが想定どおり解決されるかを見てください。
もう1点、承認済み版と下書き版の取り違えにも注意が必要です。アセットが「承認済み(下書きあり)」の状態では、プレビューでどちらの版を開いているかで見える内容が変わります。下書きで修正した内容を確認したつもりが承認済み版を見ていた、あるいはその逆、という取り違えが起きます。実配信に使われるのは承認済み版です。修正後にアセットの承認を忘れていれば、配信内容は古いままです。
確認5:スニペット経由の場合はスニペット側も見る
動的コンテンツをスニペットで実装している場合、メール本体の設定が正しくても、スニペット側の承認状態や下書きの有無が表示に影響します。未承認のスニペットはメールやランディングページで使えません。メール・ランディングページだけでなく、参照しているスニペット自体の状態も確認対象に含めてください。
再発防止:配信前チェックの型を作る
動的コンテンツのトラブルは、原因が複数の場所に分散しているぶん、毎回ゼロから調べると時間がかかります。配信前の確認を型にしておくのが現実的な対策です。最低限、次の4点を配信前チェックに組み込むことを推奨します。
- セグメンテーションとアセット(メール・LP・スニペット)の承認状態
- セグメンテーションのダッシュボードと人物タブでのセグメント別人数の分布
- 実在リードを指定したプレビューでの表示確認
- デフォルトコンテンツの内容が、誰に届いても問題ないものになっているか
とくにデフォルトコンテンツは、セグメント設計がどれだけ正しくても一定数のリードに必ず配信されます。空欄や仮テキストのまま配信される事故は、チェックリスト化でほぼ防げます。
なお、セグメンテーションはインスタンスあたり20個までしか作成・承認できず、1つのセグメンテーションに置けるセグメントは最大100個です。使っていないセグメンテーションが承認枠を圧迫している環境では、動的コンテンツの設計を見直すついでに棚卸しもしておくと、次のトラブル調査が楽になります。自社の配信フローに合わせたチェックリストをまだ持っていない場合は、今回の確認手順をベースに整備しておくと、次にトラブルが起きたときの調査時間を大きく削減できます。
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